退職金は通常多額ですので会社にとっても投資家にとっても有用な会計情報の提供が求められるのです。
結論
結論から言えば、個別上の『退職給付引当金』と連結上の『退職給付に関わる負債』の違いを把握していけば、自ずと退職給付に関わる調整累計額の意味を把握していけます。
1.退職給付に関わる調整累計額とは
退職給付に関わる調整累計額とは、退職給付会計の連結上において登場する厄介な勘定です。
退職給付に関わる調整累計額は、簡単に言えば数理計算上の差異や過去勤務費用の差異であり純資産においてその他の包括利益累計額に表示されるのです。
個別上では数理計算上の差異や過去勤務費用は認識されず、費用処理されていくのに対して連結上はその他の包括利益として認識されて個別上で費用処理された部分をリサイクリング(組替調整)していきます。
2.退職給付引当金と退職給付に関わる負債
退職給付引当金は退職給付債務と年金資産を控除した残高に対して数理計算上の差異や過去勤務費用を加減算して求めます。
簡単に言えば、個別上は当期において費用として会計処理する分だけ考慮するのに対して、連結上は包含して考えていくのです。
また、費用化していない分をその他の包括利益を通してその他の包括利益累計額で繰り越していきます。
3.退職給付に関わる調整累計額を理解するポイント【3選】
退職給付に関わる調整累計額を理解するポイント【3選】は、以下の通りです。
3-1.差異の+と-に注意
先ずは、差異の+と-に注意です
差異に関してはプラスだけでなくマイナスもあり得ます。
資産や負債などのように、借方で増える貸方で増える等考えている方は理解し難いかもしれせん。
その他の包括利益の場合には利益又は損失ですので、実際には残高で判断するのであくまでも利益又は損失であり、結果として純資産であると考えておきましょう。
3-2.利益を通じて純資産に
次に、利益を通じて純資産にです
退職給付に関わる調整額はその他の包括利益であり、その累計額は退職給付に関わる調整累計額として積み立てられます。
包括利益の内容としてその他の包括利益では親会社と子会社の分すべての分が含まれます。
ですが、退職給付に関わる調整累計額として認識される場合には親会社分と子会社の親会社持分が計上されるので、非支配株主持分は計上されないことに注意が必要です。
3-3.リサイクリング(組替調整)
最後に、リサイクリング(組替調整)です
退職給付に関わる調整累計額の内、費用化された部分に関してはリサイクリング(組替調整)を行います。
前期までに計上されている退職給付に関わる調整累計額の内当期に費用処理されている額がリサイクリング(組替調整)の対象と言えます。
つまり、数理計算上の差異や過去勤務費用の内前期以前に費用処理されなかった未認識の部分の内当期に費用処理された部分です。
結論:退職給付引当金との比較
退職給付に関わる調整累計額を理解するポイント【3選】
・差異の+と-に注意
・利益を通じて純資産に
・リサイクリング(組替調整)
退職給付引当金と退職給付に関わる調整累計額を比較して考えると分かりやすいと言えます。
ポイントを的確に押さえていけば簡単に処理できるようになります。
今回は以上です♪
ご視聴がありがとうございました(^^)/